ともに私が尊敬する宮城県は三本木にある新澤醸造店(以下新澤さん)のお酒です。伯楽星は特約店向けの新ブランド、愛宕の松はもともとのブランド、いまでは地元を中心に展開しているブランドです。
食中酒といえばまずは埼玉の神亀を思い浮かべる方も多いと思いますが、表現方法が違います。新澤さんの酒を表す言葉、「引き算の表現の食中酒」は私が最近好んで使っている言葉です。
温度管理には徹底的に気を使い、フレッシュ、やや若目の味わいで出荷されます。味わいの線も細め、淡麗で綺麗な旨み、軽い酸で切れも良い。軽く吟香がある・・そんな酒です。
開詮直後の印象では、造りの良さは感じられるけれど、ちょっと物足りない・・そんな感じがあります。とくに、派手な香りやドカンという味わいを期待して含むとギャップがあります。
それが彼の表現。「究極の三杯目」がコンセプトの酒です。つまみが絶対欲しくなる、香りや旨みをちょっと抑えて、料理を立てる。そんな「引き算の表現の食中酒」です。
- 伯楽星 特別純米 一回火入れ 山田錦 60%
- 愛宕の松 別仕込本醸 山田錦
印象は両方似ています。米の旨みは感じさせつつも、淡麗で軽い酸、かたい桃やりんごを思わせる吟香は微か。ドライな白ワイン的な印象もあるが、シャルドネではなくソーヴィニヨンブランのようなイメージ。すし屋や白ワインを出す洋食屋さんで映えそうです。
開詮3日までは凛とした線を保持、その後 味がドンと湧いてきます。比較して本醸の方が変化は小さく、つるりと滑らか、切れもよいまましばらく楽しめます。